自分らしさが変わるとどうなるのでしょうか?ここで一つ事例の紹介をします。
現在私が講師を務める塾に中学3年生の男の子がいるのですが、彼は塾で私が担任を務め
る生徒です。彼と出会ったのは中学2年の4月でした。中学1年の途中から塾に通っていた
のですが、中々成績が伸びず、2年生になって担任が私に変わりました。指導科目は数学。彼
の中学1年の時の成績ですが、1年間に7回のテスト(定期テスト5回、実力テスト2回)
があり、数学の7回の合計点が181点(平均25.9点)で、最高得点が28点でした。1年間
で一度も30点を超えたことがないという結果でした。
そんな彼と初めて会った時の自己評価は、「自分は出来が悪い」「何をやっても覚えられな
い」「勉強は向いてない」というものでした。要するに、30点未満の点数でも仕方ないし、
もっと言えば、それが「自分らしい」ということを意味しています。そんな彼との初回の授業
は、全く数学の勉強はせずに、本来の自分の力や可能性がどれほどあるかについて、とことん
話し合いました。「苦手だし、俺には無理だ」と思っていては、どれだけ勉強をしても成果は
上がりません。一通り話し合った後の彼の顔はとても晴れ晴れとして、自身に満ち溢れていま
した。そしてそれから5月の中間テストに向けての勉強が始まりました。
結果は、なんと58点獲得!!今まで50点どころか30点も超えたことの無かった彼が、
たった1ヶ月間の指導で58点を獲得したのです。更に彼は次の期末テストで54点、夏休み
明けの実力テストでは74点を獲得しました。その後も50点、70点とそこそこの成績が続き
ました。まさしく彼の「自分らしさ」のゾーンが変わったのです。では、彼がなぜこれほど早
く結果が出たのでしょうか。それは、彼がとても純粋で素直な子だったからだと思います。私
の話を、目をキラキラ輝かせながら真剣に聞いてくれましたし、自分には大きな可能性があ
り、まだまだ伸びる事が出来ると、何の疑いもなく信じてくれたのです。
そして何よりも、彼がこの点数を維持できたのは、彼が1学期の中間テストで58点を取った時の事です。
私に結果報告をするとき、彼はとても落ち込んだ様子で「先生…58点でした
…ショックです。私は80点くらい取れると思ってました」と言ったのです。今までの最高得
点が28点の子が、58点を獲得して大喜びしてもよさそうなところを、彼は喜ぶどころか落
ち込んでいたのです。まさしくこれが「自分らしさ」が完全に移行していた証拠です。58点
で大喜びするという事は、「自分らしくない」の表れでもあります。ところが彼は逆に80点
が俺らしいと思っての「58点は自分らしくない」だったのです。この結果を聞いた時、実は
私もショックを受けました。私も彼は80点くらい獲得してくると思っていたのです。
この様に、今までと勉強時間は全く変わらないのに、成績が大きく伸びる事があります。そ
れはどんな状態が自分らしいのかという在り方が変わることで生まれます。
是非皆さんも意識してみてください。
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